アニメの画質の変化は、受け手の印象をここまで変える。「コンテンツの秘密」
情報量によってCGっぽく見える見えないが左右されるというのは、どうも本当にそのようで、デジタル放送の綺麗な画面の『ローニャ』を大画面テレビで見ると、ぼくなんかの目ではCGであることがほとんど気になりません。ところが、DVDやニコニコ生放送などで、画質の悪い『ローニャ』を見ると、やっぱりCGでつくっていると、動きが気になるのです。おそらく画質が悪いと、キャラクターに追加した影などがつぶれてしまい情報量が減ってしまうのだと思います。ー第4章 オリジナリティとはなにか − CGキャラクターの情報量ー 「コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと(NHK出版新書)」
KADOKAWAの川上会長によって書かれた書籍「コンテンツの秘密」より、CGアニメに関するひとこと。
「ローニャ」とは、ジブリの宮崎吾朗監督が手がけた、CGアニメ「山賊の娘ローニャ」のことである。CGによって作られたキャラクターに、手描き風の質感を加えるという特殊な作りをしていた。
本書の中では、CGのように正確すぎる線だと情報量が減ってしまい、手描きアニメのように見えないため、通常よりも多くの影をつけて、情報量を増やすことが大切だったのだと語られている。
いままで画質のよしあしは、絵としてのよしあしであって、お金がある人は高画質を選び、それなりで十分という人は気にせずみればいいものかと思っていたが、どうやらそれだけではないようだ。
画質が落ち、情報量が減るということは、絵に対する評価だけでなく、そのカットから受ける臨場感や、悪い意味での違和感にもつながってくるのだろう。
情報量をカットごとにコントロールしている作品であれば、なおさらこの画質の差によって、受け止め方が変わってくるのかもしれない。
映画館で観るからこそ面白い映画というのがあると思うのだが、それは単純な雰囲気や気持ちだけの問題ではなく、こういったところにも関係しているのだろうか。
コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/11
- メディア: Kindle版
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